平成26年第47回

【解答(技術編)】平成26年第47回細胞検査士試験過去問の解説(問1-問10)

こんにちは!

あすはやです。

平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は技術 問1~問10の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

技術(問1~問10)

技術 問1.正しいものはどれですか.

A.血性胸水を対象とした抗凝固剤の使用は細胞変性を防ぐ作用がある.

B.一般に捺印法は穿刺吸引法と比較し,細胞採取量が少ない.

C.セルブロック法で標本を作成する場合,薄切作業は不要である.

D.コロジオンバッグ法は液状検体に有用である.

E.細胞転写法は,Papanicolaou 染色と同一細胞の免疫染色(免疫細胞化学染色)が可能である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

A:抗凝固剤の使用はフィブリンの析出を防ぐためである。しかし抗凝固剤は細胞毒性を有しており、細胞融解などを起こす原因となるため入れすぎには注意が必要である。

B捺印法はスライドガラスに直接、組織の塊を押し付ける方法である。細胞採取量は多い。穿刺吸引法は腫瘤内に針を刺し、陰圧をかけて細胞を採取する方法。

C:液体状の沈査や喀痰、または極少量の細胞診検体をホルマリン固定し、組織標本と同じようにパラフィンブロックにする。そして、それを薄切、染色する。

 

技術 問2.湿固定前に乾燥した標本について正しいものはどれですか.

A.腺細胞は収縮する.

B.細胞質がライトグリーンに濃染しやすくなる.

C.再水和法では生理食塩水を用いる.

D.乾燥後アルコール固定した標本は,再水和法が無効である.

E.再水和法は1 週間以内に処理を行えばよい.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

A:腺細胞は膨化する。淡染、赤みをおび、細胞構造が不明瞭になる。

B:オレンジG好性となる。

E再水和法は遅くても2日以内に行う。

 

技術 問3.穿刺吸引細胞診における検体採取および処理について正しいものはどれですか.

A.穿刺吸引後に患者から針を抜く際はシリンジを引いた状態で抜く.

B.ガラスに吹付ける際は,一度注射筒から針を外し空気を入れ直し行う.

C.Papanicolaou 染色用の検体は,ガラスに吹付けた後95% エタノールに素早く浸す.

D.採取量が多い場合は2枚のスライドガラスで上下左右に均一化しすり合わせる.

E.検体処理後は注射針を精製水で洗浄後,標本を作製する.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

A必ず陰圧を解除し、針を抜きます。シリンジを引いた状態では陰圧がかかっており、そのまま針を抜くのは危険です。

D:喀痰は2~3回とすり合わせを行いますが、喀痰以外の検体のすり合わせ回数は1回です。問題では穿刺吸引細胞診検体であるため、喀痰以外の検体を指していると思われるため、不正解としました。

E:生理食塩水で洗浄である。

 

技術 問4.Papanicolaou 染色について正しいものはどれですか.

A.オレンジG やエオジンY,ライトグリーンは酸性色素であり,正に荷電する.

B.エオジンY,ライトグリーンは非水溶性である.

C.Gill(ギル)のヘマトキシリンには酸化剤として過ヨウ素酸が含まれる.

D.分子量の大きさはオレンジG < エオジンY < ライトグリーンの順である.

E.OG – 6 やEA – 50 にはリンタングステン酸が含まれる.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

A:オレンジG、エオジンY、ライトグリーンは酸性色素であり、アルコール溶液中は負に荷電する。

B:エオジンY、ライトグリーン水に溶けやすく、アルコールに溶けにくい。

C:ギルのヘマトキシリンの酸化剤はヨウ素酸ナトリウム

 

技術 問5.Giemsa 染色について正しいものはどれですか.

A.塗抹後,温風で急速乾燥させる.

B.Giemsa 液の組成はアズールⅡ,エオジン,メタノールである.

C.基底膜物質や間質性粘液が異染性を示してくる.

D.染めすぎた時は塩酸水で脱色するとよい.

E.May-Giemsa 染色と比べて,細胞質内の顆粒観察に適している.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

A:塗抹後は冷風で急速乾燥をさせる。

D:染めすぎてしまった場合は、ゆっくり水で脱色する。急ぐ時はメタノールで脱色するが染め直しの結果がやや悪なってしまう。

E:メイ・ギムザ染色はギムザ染色と染色性は変わらないが、細胞質内の微細顆粒の染色性においてすぐれている。

 

技術 問6.キシレンについて正しいものはどれですか.

A.胎児への悪影響を起こすことがある.

B.特定化学物質に指定されている.

C.直接手指で触れても経皮吸収されにくい.

D.作業環境測定は1 年に1 回実施する必要がある.

E.健康診断の際は尿中のメチル馬尿酸量の検査が必要である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

B:キシレンは有機溶剤、毒物劇物取締法、医薬用外劇物などに指定されている。

C:皮膚刺激ありのため、保護手袋着用。

D:労働衛生安全法により6か月以内ごとに、作業場のキシレン濃度測定を行う。

 

技術 問7.ホルマリンを取り扱う環境について正しいものはどれですか.

A.作業主任者は特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了する必要がある.

B.ホルマリンを扱う部屋の管理濃度は0.01ppm 以下である.

C.6ヶ月に一度,作業主任者による作業環境測定が必要である.

D.換気装置が設置されている場所では呼吸用保護具を備える必要はない.

E.ホルマリンは酸化中和処理を行えば下水に廃棄して良い.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

B:ホルマリンを吸う部屋の濃度は、0.1ppm以下

C:作業主任者ではなく作業環境測定士による測定。

D:ホルムアルデヒドに有効な呼吸用保護具、保護衣、保護手袋等を揃える。換気扇があっても、粘膜や肌を保護するために用意する。

 

技術 問8.Papanicolaou 染色について誤っているものはどれですか.

A.ヘマトキシリンの染色時間は液の使用頻度や室温によって異なることがある.

B.核染色後のヘマトキシリンは3% アンモニア・アルコールで脱色する.

C.Gill(ギル)のヘマトキシリンには酸化第二水銀が含まれる.

D.EA に含まれるビスマルクブラウンは類脂肪を染め, 細胞質染色には関与しない.

E.細胞の透過性がよい点が特徴である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

B:塩酸アルコールで脱色するか、70%エタノールなどを用いることがある。

C:ギルのヘマトキシリンは、酸化剤としてヨウ素酸ナトリウムが入っている。ハリスのヘマトキシリンに酸化剤として酸化第二水銀を含んでいる。

 

 

技術 問9.特殊染色について誤っているものはどれですか.

A.PAS 反応の酸化にはヨウ素酸ナトリウムを用いる.

B.Schiff 試薬には塩基性フクシンが含まれる.

C.Alcian blue は正に荷電し,負に荷電しているカルボキシル基と反応する.

D.Schiff 試薬の劣化はホルマリンに滴下して確認する.

E.Sudan(ズダン)Ⅲ染色ではアルコール固定が推奨される.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

A:PAS反応の酸化には過ヨウ素酸を使用する。

E:脂質系の固定には、ホルマリン蒸気固定を行う。アルコールで固定してしまうと脂質が溶け出してしまうため。

 

 

技術 問10.FISH 法について誤っているものはどれですか.

A.細胞周期のM期のみ判定できる.

B.ゲノムにおけるある特定の遺伝子の欠失を確認できない.

C.二本鎖DNA を一本鎖DNA に解離させることを熱変性(denature)と呼ぶ.

D.染色後, -20 ℃で保存することで,蛍光は一定期間保たれる.

E.蛍光観察は暗室や自然光を遮る措置が必要である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:1

A:間期の細胞でも測定可能。

B:遺伝子のマッピングおよび遺伝子異常(染色体異数性、遺伝子の増幅、欠失、転座)などを検索、証明する。

 

47回技術 問1~問10の解説は以上になります。