こんにちは!
あすはやです。
平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は技術 問11~問20の解説を行います。
学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!
Contents
- 技術(問11~問20)
- 技術 問11.顕微鏡について誤っているものはどれですか.
- 解説
- 技術 問12.引きガラスを用いた標本作製法について正しいものはどれですか.
- 解説
- 技術 問13.顕微鏡について誤っているものはどれですか.
- 解説
- 技術 問14.顕微鏡のトラブル対処方法として誤っている組み合わせはどれですか.
- 解説
- 技術 問15.誤っているものはどれですか.
- 解説
- 技術 問16.染色法で誤っている組み合わせはどれですか.
- 解説
- 技術 問17.免疫染色について誤っているものはどれですか.
- 解説
- 技術 問18.免疫染色における抗原の局在について,誤っている組み合わせはどれですか.
- 解説
- 技術 問19.液状化細胞診(liquid-based cytology : LBC)について誤っているものはどれですか.
- 解説
- 技術 問20.Papanicolaou 染色におけるトラブル対処方法として誤っている組み合わせはどれですか.
- 解説
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- 関連
技術(問11~問20)
技術 問11.顕微鏡について誤っているものはどれですか.
A.微分干渉顕微鏡は無色透明であるが屈折率が異なる試料の観察に用いる.
B.位相差顕微鏡は無色透明な細胞や金属表面の段差などを観察に用いる.
C.偏光顕微鏡は岩石の結晶や生物試料中に含まれる結晶物質の観察に用いる.
D.共焦点レーザー顕微鏡はDNA マイクロアレイの測定に用いる.
E.実体顕微鏡は対象をそのまま観察する.
1:A B
2:A E
3:B C
4:C D
5:D E
解説
回答:1
・微分干渉顕微鏡・・・微分干渉装置を用いて、無染色細胞をレリーフ効果で立体的に観察できる。微分干渉観察が向いていない試料は、透明でかつ周囲の物質と屈折率があまり違わないものである。また、組織切片のような厚みのある試料や、色素を多く含んだ色の濃い試料の観察にも向いていない。
・位相差顕微鏡・・・光か厚さ、屈折率の違う物体を通過する際に出来る波長のズレ(位相差)を利用する。試料を染色しなくても観察できるため、培養細胞や体腔液の細胞を生きたまま見ることが出来る。コントラストを上げるために緑色のフィルターを使用するので視野が緑色調に見える。
技術 問12.引きガラスを用いた標本作製法について正しいものはどれですか.
1.引きはじめに大きな細胞が集まりやすい.
2.引きガラスを引く速度が速いと長く引ける.
3.引きガラスの角度を小さくすると長く引ける.
4.検体が粘稠性の場合は引きガラスを引く速度を早くする.
5.血液成分が多い場合は検体塗布量を多くする.
解説
回答:3
1:大きな細胞は、引き終わりに集まりやすい。
2:引きガラスを引く速度が速いと短く引け、速度が遅いと長く引ける。
4:検体が粘調性のあるものは、ゆっくり引く。
5:血液成分が多い塗抹標本は剥離しやすい。厚くなりすぎないように引く。
技術 問13.顕微鏡について誤っているものはどれですか.
1.40 倍の対物レンズのカラーコードはJIS 規格にて青色と規定されている.
2.対物レンズの開口数の75% 程度に開口絞りを調整する.
3.開口絞りを絞ると,コントラストが増す.
4.対物レンズの倍率が高いと実視野は小さくなる.
5.対物レンズの開口数が大きいほど焦点深度は深くなる.
解説
回答:5
・焦点深度・・・ピントを標本上の点に合わせたとき、上下方向でピントが合って見える範囲(深さ)を焦点深度という。焦点深度は開口数と総合倍率に反比例する。よって、開口数が大きいほど焦点深度は浅くなる。
技術 問14.顕微鏡のトラブル対処方法として誤っている組み合わせはどれですか.
1.黄色色調を呈している ――――――――― フィルターを調整
2.ギラつき ――――――――――――――― 視野絞りを調整
3.高倍率でのピントがあまい ――――――― 対物レンズ補正環を調整
4.視野の一部が欠ける ―――――――――― 光軸確認
5.視野が一つにみえない ――――――――― 眼幅調整と視度調整
解説
回答:2
・ギラつき・・・開口絞りを調整する。
※視野絞りが、正しく調整されていないと視野に影やムラができる。
技術 問15.誤っているものはどれですか.
1.子宮頸部スメアでは扁平上皮・円柱上皮境界部(SCJ)を中心に採取する.
2.喀痰は起床直後の採取が適切である.
3.自然尿は起床直後の採取が適切である.
4.胸水・腹水では採取後直ちに抗凝固剤入り容器に入れて混和する.
5.脳脊髄液は蛋白含有量が少なく,細胞の膨化や濃縮,剥離などを起こしやすい.
解説
回答:3
・早朝尿・・・細胞成分が多く、一見細胞診に適しているようにみえるが、長時間の貯留に伴う細胞変性が強く、検体としては好ましくない。よって、随時尿を検体とすることが多い。
技術 問16.染色法で誤っている組み合わせはどれですか.
1.PAS 反応 ――――――――――― アメーバ
2.Alcian blue 染色 ――――――― 酸性ムコ多糖類
3.Berlin blue 染色 ――――――― アスベスト小体
4.Fontana-Masson 染色 ―――――- pneumocystis jirovecii
5.Grimelius 染色 ―――――――― カルチノイド腫瘍
解説
回答:4
・Fontana-Masson 染色・・・メラニン細胞を染める染色。ただしクリプトコッカスなど一部の真菌で陽性。
・pneumocystis jirovecii・・・グロコット染色やPAS反応。
技術 問17.免疫染色について誤っているものはどれですか.
1.内因性ペルオキシダーゼ活性の阻害に,過酸化水素加メタノールを用いる.
2.アルコール固定標本における抗原賦活法としては,蛋白分解酵素処理が推奨される.
3.高分子ポリマー法で行う場合,内因性ビオチンの影響は考慮しなくて良い.
4.長期間アルコール固定した標本は,偽陰性となる場合がある.
5.一次抗体と二次抗体は異なる動物の抗体を使う.
解説
回答:2
細胞診標本での免疫染色・・・アルコール固定ではホルマリン固定に見られる強固な蛋白質の架橋反応は生じないため、抗原賦活化は不要と考えられてきた。しかし核内抗原などの検出の際はクエン酸緩衝液pH6を用いた加熱による抗原賦活化が有効なことがある。
技術 問18.免疫染色における抗原の局在について,誤っている組み合わせはどれですか.
1.p 63 ―――――――――――――――――――――- 核
2.CD 5 ―――――――――――――――――――――- 細胞膜
3.CD 56(NCAM) ――――――――――――――――― 細胞膜
4.TTF – 1(Thyroid transcription factor – 1) ―― 核
5.ER(Estrogen receptor) ―――――――――――― 細胞膜
解説
回答:5
・ER・・・核が染まる。
技術 問19.液状化細胞診(liquid-based cytology : LBC)について誤っているものはどれですか.
1.不適標本の減少に有効な手法である.
2.専用の固定保存液を使用する.
3.尿検体には使用できない.
4.固定保存液より再度標本を作製できる.
5.転写法や荷電法を用いて均一な標本を作製する.
解説
回答:3
・LBC・・・婦人科の検体で使用されることが多いが、尿検体でのLBC標本作製も行える。
技術 問20.Papanicolaou 染色におけるトラブル対処方法として誤っている組み合わせはどれですか.
1.コーンフレーク状人工産物 ―――― 脱水を十分に行う
2.細胞の剥離 ――――――――――― コーティングスライドグラスの使用
3.核染色の細胞質への共染 ――――― 核染色の分別を十分に行う
4.脱水・透徹不良 ――――――――― モレキュラーシーブ使用
5.細胞や菌などの混入 ――――――― 固定液・染色液の濾過や交換
解説
回答:1
・コーンフレーク状人工産物・・・封入前にキシレンに浸かっていない標本の部位があると、コーンフレーク状に見えるときがある。対策としては、封入前のドーゼにキシレンを標本のフロスト下ぐらいまでに十分量入れておくこと。
47回技術 問11~20の解説は以上になります。
47回胸腹水・その他 問1~10の解説はこちらになります。↓
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