平成26年第47回

【解答(婦人科編)】平成26年第47回細胞検査士試験過去問の解説(問1-10)

こんにちは!

あすはやです。

平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は婦人科 問1~問10の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

婦人科(問1~問10)

 

婦人科 問1.子宮について正しいものはどれですか.

A.子宮は両側の傍中腎管(ミュラー管)の融合により形成される.

B.扁平円柱上皮境界(SCJ)は,年齢によって移動する.

C.子宮頸管腺には線毛は見られない.

D.子宮頸管粘液は増殖期初期に増加する.

E.増殖期にはエストロゲン効果はプロゲステロンにより拮抗される.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:1

傍中腎管(ミュラー管)・・・中胚葉由来で胎生体腔由来の腹膜上皮である。卵管では線毛上皮、子宮体部では内膜上皮、子宮頸部では粘膜分泌性の頸管腺上皮に分化する。

こちらのサイトを参考にしてみて下さい。↓

http://www.ft-patho.net/index.php?%C0%B8%BF%A3%B4%EF%A4%CE%C8%AF%C0%B8

 

・子宮頸管粘液は分泌期に増加する

 

婦人科 問2.ヘルペス感染症の所見で正しいものはどれですか.

A.コーヒー豆様の核溝

B.多核

C.すりガラス様の核

D.核周囲の明庭

E.核分裂像

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

ヘルペス感染・細胞像・・・感染した細胞は、多核、すりガラス様の核、核がお互いに押し合うような核圧排像、核内に好塩基性(好酸性)の封入体が見られる。

 

 

婦人科 問3.子宮頸癌について正しいものはどれですか.

A.上皮内癌では基底膜の破綻が認められる.

B.Ⅰ A 1 期では間質浸潤の深さが基底膜から3~5㎜である.

C.Ⅱ B 2 期では,癌が頸部をわずかに超えて広がっている.

D.Ⅲ B 期には子宮傍結合組織の癌浸潤による水腎症が含まれる.

E.Ⅳ A 期には膀胱,直腸の粘膜への浸潤を認める.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

上皮内癌・・・基底膜の破錠は認められない。粘膜内にとどまる癌。

 

子宮頸がんの進行期分類については、こちらのサイトを参考にして下さい。↓

http://www.msdoncology.jp/cervical-cancer/staging/

婦人科 問4.正しいものはどれですか.

A.内膜細胞診において,漿液性腺癌ではときに砂粒体が認められる.

B.子宮体癌において,腹水細胞診または腹腔内洗浄細胞診陽性の場合、手術進行期分類はⅢA期となる.

C.内膜細胞診による内膜増殖症の検出率は80% 以上である.

D.内膜細胞診において,不規則増殖内膜と単純型子宮内膜増殖症との鑑別には嚢胞状腺管の存在が参考となる.

E.内膜細胞診において,異型内膜増殖症複雑型とG 1 類内膜腺癌との鑑別には クラスター辺縁の結合性低下(ほつれ)の所見が参考となる.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

内膜細胞診による内膜増殖症の検出率は50%程度である

子宮体癌の進行期分類・・・こちらのサイトを参考にしてみて下さい。↓

https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/treatment.html

不規則増殖内膜と単純型子宮内膜増殖症との鑑別・・・不規則増殖内膜は内腺膜の拡張が見られ、拡張した内腺膜の間に正常な内腺膜が介在している。不規則増殖内膜と増殖症との違いは量的な差異しか見られず、鑑別は困難。

異型増殖症とGIの鑑別・・・辺縁不整樹枝状の細胞集塊、集塊辺縁の核突出、核形不整。

婦人科 問5.誤っているものはどれですか.

A.閉経後の不正性器出血は,子宮体癌を疑う.

B.乳癌術後のタモキシフェンの使用は,子宮体癌と関係がある.

C.閉経後の超音波検査での子宮内膜肥厚は,子宮体癌を疑う.

D.卵巣癌で内膜細胞診陽性の場合は,卵巣癌と子宮体癌の重複癌である.

E.子宮頸癌で内膜細胞診陽性の場合は,子宮頸癌と子宮体癌の重複癌である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

・細胞診では、どこ由来の癌細胞かまでは判別は出来ないため、D・Eは誤りとしました。

婦人科 問6.誤っているものはどれですか.

A.月経周期とは月経終了日より起算して,次回の月経開始前日までのことである.

B.基礎体温は,プロゲステロンの作用によって分泌期に上昇する.

C.経口避妊薬はエストロゲンとプロゲステロンの合剤で,子宮内膜の増殖を抑制する.3

D.卵管癌に特徴的な所見として水様性帯下がみられる.

E.子宮内膜症は無症状で発見される場合が多い.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

月経周期・・・月経開始日から数えて次の開始日までのこと。

子宮内膜症・・・症状としては、下腹部痛、生理痛、疼痛と不妊があり、約90%が月経困難症。

婦人科 問7.誤っているものはどれですか.

A.思春期や更年期では月経不順が高頻度にみられる.

B.更年期ではFSH は上昇傾向を示すことが多い.

C.エストロゲンは子宮内膜の分泌期変化に関与する.

D.顆粒膜細胞腫は子宮頸癌の罹患リスクを上昇させる.

E.多嚢胞性卵巣症候群は不妊の原因となる.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

顆粒膜細胞腫・・・約半数にエストロゲン産生による不整性性器出血や月経異常が見られる。また内膜増殖症が50%前後、子宮内膜症を10%程度合併する。

子宮内膜の分泌期・・・排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期は黄体期、子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期は分泌期と呼ばれます。黄体期と分泌期は重なります。

 

婦人科 問8.誤っているものはどれですか.

A.ベセスダシステムでは,CIN 1 ~ 3 相当の病変を2 段階に分類している.

B.LSIL ではCIN 1 とCIN 2 を,HSIL ではCIN 3 を推定する.

C.細胞診では,異型腺細胞を内頸部由来か内膜由来かを判別することはできない.

D.CIN 3 以上の病変が認められた際には,子宮頸部円錐切除術や子宮摘出術を行う.

E.ASC-US と判定された際には,積極的にヒトパピローマウイルス(HPV)

E DNA 検査を行う.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

ベセスダ・・・こちらのサイトを参考にしてみて下さい。↓

https://jsgo.or.jp/public/keigan.html

 

婦人科 問9.正しいものはどれですか.

1.結核 ―――――――――― エクソダス

2.クラミジア感染症 ―――― ウインナー状菌糸

3.カンジダ腟炎 ―――――― クルー・セル

4.尖圭コンジローマ ―――― ツートーンカラー

5.トリコモナス腟炎 ―――― キャノンボール

解説

回答:5

クラミジア感染症・・・星雲状封入体が見られる。クラミジアがどんどん増えて大きな封入体になり、その後、細胞は破裂して、何万と言うクラミジアが膣内に放出される。

カンジダ膣炎・・・橙色に染まった酵母様真菌と菌糸用構造のカンジダが見られ、細胞集塊にくし刺しのような状態で見られることもある。

結核・・・壊死性背景にラングハンス巨細胞が見られる。

尖圭コンジローマ・・・細胞診よりも組織検査で検体が出されるケースが多い。肉眼的には鶏冠状に隆起した皮膚が特徴で、組織像は扁平上皮には表層においてコイロサイトが見られる。軽度の核形の不整と核周囲の淡明化 (空胞化)がある。parakeratosis が目立ち、ケラトヒアリン顆粒の腫大も見られる。

 

婦人科 問10.正常子宮内膜腺細胞について誤っているものはどれですか.


1.増殖期には核の偽重層化がみられる.

2.増殖期には核分裂像を認める.

3.分泌中期には増殖期に比べ核は円形で小さくなる.

4.分泌期初期には内膜腺核下にグリコーゲンを含んだ空胞がみられる.

5.閉経後には萎縮し,細胞診では平面的なシート状や,短導管状,短筒状で認められる.

解説

回答:3

分泌中期・・・核は増殖期より大きく、円形化が強く、核小体も見られる。

 

第47回 婦人科 問1~問10の解説は以上です。