平成26年第47回

【解答(婦人科編)】平成26年第47回細胞検査士試験過去問の解説(問11-20)

こんにちは!

あすはやです。

平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は婦人科 問11~問20の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

婦人科(問11~問20)

婦人科 問11.子宮頸部扁平上皮病変の組織学的所見について誤っているものはどれですか.

1.コイロサイトーシスが認められるのみでもCIN 1 と判定する.

2.CIN 3 はしばしば腺侵襲を伴うが,間質浸潤とは判定しない.

3.単一細胞角化が認められれば角化型扁平上皮癌とする.

4.コンジローマ様癌は,ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に特徴的な所見を有する扁平上皮癌である.

5.疣いぼ状癌は,間質浸潤部の先端が膨張性の上皮突起を形成する高度に分化した扁平上皮癌である.

解説

回答:3

単一細胞角化・・・非角化型扁平上皮癌は単一細胞角化の出現を認めることがあるが、一部に留まり、真珠の形成を欠く扁平上皮癌。

 

婦人科 問12.誤っているものはどれですか.

1.舟状細胞は低エストロゲン効果を反映している.

2.エオジン好性指数(E. I.)が右方移動すると流産が危惧される.

3.妊娠中の腟細胞診ではデーデルライン桿菌が増加する.

4.産褥期には細胞成熟指数(M. I.)は右方移動を示す.

5.妊娠すると高プロゲステロン型の中層細胞像を呈する.

解説

回答:不適切問題。

舟状細胞・・・妊娠中大量のエストロゲンとプロゲステロンが分泌される。プロゲステロンはエストロゲン効果を阻止し、プロゲステロン効果のみ著明となる。細胞像は細胞質の辺縁が折れ曲がり、肥厚し、グリコーゲンを豊富に有する。なので1は誤り。

エオジン好性指数(EI)・・・表層細胞と中層細胞の中で占めるエオジン好性細胞の割合。流産は成熟指数(MI)で右方移動した時。なので2は誤り。

デーデルライン桿菌・・・月経周期の分泌期、妊娠、ステロイドホルモン使用時・後に出現する。ホルモンバランスが崩れたりすると減少する。3は正しい。

産褥期・・・妊娠中に分泌されていたエストロゲン、プロゲステロンは消失し成熟指数は左方移動を示す。4は誤り。

妊娠中・・・細胞質がライトグリーンに染まりやや大きな嚢胞状核を有する中層細胞が多数出現する。舟状細胞の原型質はグ リコーゲンを多く含むため時に淡黄色に見え、核のやや偏在した中層細胞の出現が大きな特徴である。5は正しい。

婦人科 問13.全胞状奇胎について誤っているものはどれですか.

1.欧米に比して東南アジアでは少ない.

2.染色体の核型は46,XX が多い.

3.妊娠を契機に発生する.

4.血清hCG 値が高い.

5.絨毛癌への移行は稀である.

解説

回答:1

胞状奇胎・・・受胎異常が起こり、絨毛組織が水腫様になり増殖する。胞状奇胎は17歳未満と35歳以上の女性に特に多く、米国では2000件の妊娠につき1回程度の頻度で発生しています。アジア諸国での発生率はこの10倍近くありますが、その理由は分かっていません。

婦人科 問14.誤っているものはどれですか.

1.クラミジア症は卵管炎の原因となる.

2.性器ヘルペスは性器に潰瘍性または水疱性病変を形成する.

3.腟カンジダ症を引き起こす真菌の約80 ~ 90% がCandida albicans である.

4.尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)31,33 型の感染が関与している.

5.放線菌は子宮内避妊器具(IUD)との関連性がある.

解説

回答:4

尖圭コンジローマ・・・HPV6型、11型である。

 

婦人科 問15.誤っているものはどれですか.

1.分葉状内頸腺過形成の病巣の主座は,扁平円柱上皮境界(SCJ)よりも内頸部側にあることが多い.

2.コスモスサインは,最小偏倚型粘液性腺癌における特徴的な画像所見である.

3.子宮頸部上皮内腺癌は,扁平円柱上皮境界(SCJ)付近から発生する.

4.子宮頸部上皮内腺癌の患者平均年齢は浸潤性腺癌よりも低い.

5.子宮頸部上皮内腺癌の発生には,ヒトパピローマウイルス(HPV)18 型が大きく関与している.

解説

回答:2

分葉状内頸部腺過形成(LEGH)・・・異型のない頸管腺が分葉状構造を示して増生し、多嚢胞性の腫瘍を形成。周囲との境界は明瞭。病変は内頸部高位に限局性に位置し。粘液性状が頸管腺と異なり、胃の幽門腺と同様の形質を示し幽門腺粘液に対するHIK1083抗体が陽性となる。

コスモサイン・・・LEGHと特徴所見。MRIにおいて見られる。

 

婦人科 問16.子宮内膜症について誤っているものはどれですか.

1.骨盤内外に発生する.

2.不妊症の原因となる.

3.腫瘍マーカーCA 125 値が診断に有用である.

4.確定診断は子宮内膜全面掻爬術により行う.

5.卵巣に発生した場合は悪性腫瘍の原因となる.

解説

回答:4

子宮内膜症・・・子宮内膜が子宮内腔や子宮体部以外の骨盤内で増殖する。転移や浸潤などの悪性腫瘍のような性質を持つ。検査は直腸診、膣直腸診、超音波、MRI、腫瘍マーカー(CA125)があり、中でも腹腔鏡検査が確定診断となる。

婦人科 問17.子宮体癌について誤っているものはどれですか.

1.エストロゲンに依存性を示すものはⅠ型である.

2.Ⅰ型は,Ⅱ型に比して予後良好である.

3.複雑型子宮内膜異型増殖症は,類内膜腺癌の前駆病変となる.

4.扁平上皮への分化は,予後に影響を与えない.

5.類内膜腺癌におけるGrade 分類には,細胞異型は考慮されない.

解説

回答:5

Grade 分類・・・

Grade1:充実性の占める割合が腺癌成分の5%以下

Grade2:6~50%のもの、あるいは5%以下でも細胞異型の強いもの

Grade3:50%を超える、あるいは6~50%でも異型が著明なもの

 

婦人科 問18.卵巣腫瘍について誤っているものはどれですか.

1.胚細胞性腫瘍は若年者に多い.

2.悪性転化を伴う成熟奇形腫は高齢者に多い.

3.Krukenberg 腫瘍は転移性卵巣腫瘍である.

4.漿液性腺癌は進行癌のことが多い.

5.子宮内膜症性嚢胞から発生する卵巣腫瘍は顆粒膜細胞腫が多い.

解説

回答:5

子宮内膜症からの卵巣腫瘍・・・組織型は明細胞腺癌や類内膜腺癌での併存率が高い。内頸部型粘液性境界悪性腫瘍と有意な関連がある。

婦人科 問19.誤っているものはどれですか.

1.腟癌では扁平上皮癌が多い.

2.卵管癌では漿液性腺癌が多い.

3.卵管癌では内膜細胞診は有用である.

4.外陰癌は高齢者に好発する.

5.子宮頸部と腟に連続した癌は腟癌と診断する.

解説

回答:5

子宮頸部と腟に連続した癌・・・外子宮口に達していれば子宮頸癌に分類する。外子宮口に達していない場合、その原発部位は病巣の占拠範囲の大きさなどを参考にして決定する。

 

婦人科 問20.子宮および卵巣悪性腫瘍の治療法として誤っているものはどれですか.

1.子宮頸癌の放射線治療では,外部照射と腔内照射が行われる.

2.大量腹水や胸水を認める卵巣癌は,術前化学療法の適応となる.

3.子宮頸がんワクチンは,予防と治療に有効である.

4.子宮頸部上皮内癌は子宮頸部円錐切除術の適応となる.

5.子宮および卵巣悪性腫瘍の化学療法ではプラチナ製剤を第 1 選択とする.

解説

回答:3

子宮頸がんワクチン・・・メディアなどで副反応に問題があると報道されていましたが、厚生労働省によると、子宮頸がん予防ワクチンの副反応の発生状況については、ワクチン接種の有効性との比較考量の中で、定期接種の実施を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでしたと、ホームページにて記載しています。

海外の疫学調査では、HPV感染率が実際に減少したとの報告がある。また海外の推計では子宮頸癌の罹患率、死亡率を70~80%低下させるというデータが出ている。

日本では接種が開始してから年数が浅いので、実際の有効性などのデータは10~20年後になるのではないかと思います。

 

こちらのサイトを参考にしてみて下さい。↓

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html

第47回 婦人科 問11~問20の解説は以上です。