平成26年第47回

【解答(呼吸器編)】平成26年第47回細胞検査士試験過去問の解説(問11-20)

こんにちは!

あすはやです。

平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は呼吸器 問11~問20の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

呼吸器(問11~問20)

呼吸器 問11.肺癌で扁平上皮癌よりも腺癌に認められる所見として正しいものはどれですか.

1.壊死性背景

2.核縁の切れ込み

3.核,細胞の大小不同

4.細胞質の同心円状層構造

5.核クロマチンの粗大凝集

解説

回答:2

腺癌の細胞像・・・立体的な乳頭状集塊、細胞質はライトグリーンに淡染し、レース状。核は偏在し、クロマチンは微細顆粒状。

 

呼吸器 問12.大細胞神経内分泌癌について正しいものはどれですか.

1.通常壊死はみられない.

2.小細胞癌との鑑別は容易である.

3.通常ロゼット様配列はみられない.

4.核分裂像は2 ㎟中に11 個以上みられる.

5.核クロマチンは微細顆粒状のパターンを示す.

解説

回答:4

大細胞神経内分泌癌・・・類器官構造、索状、ロゼット様、柵状配列を示す。細胞質は中等度~豊富。核小体目立つ、核線を認め、核分裂像あり。免疫染色は、クロモグラニンA、シナプトフィジン、NCAMが80%以上陽性。

 

呼吸器 問13.誤っているものはどれですか.

1.石灰化小体は,PAS 反応陽性である.

2.組織球は,含鉄小体を貪食することができない.

3.喀痰中の石綿繊維には,蛋白質が付着していることが多い.

4.食物残渣に由来する細胞は,シート状で結合が強い.

5.シャルコー・ライデン結晶は,好酸球の崩壊物質由来である.

解説

回答:2

・砂粒小体・・・PapではオレンジG好染、ライトグリーン好染、ヘマトキシリンで染まる。PAS染色陽性。ギムザ染色では染色されず、結晶状構造として観察される。

 

呼吸器 問14.誤っているものはどれですか.

1.真菌症では肺に類上皮細胞肉芽腫が形成される.

2.結核菌の証明にはpolymerase chain reaction(PCR)が必須とされる.

3.CCP(Ciliocytophthoria)細胞はウイルス感染でみられる.

4.サイトメガロウイルス感染では核内封入体がみられる.

5.Aspergillus fumigatus の証明にはGrocott 染色が有用である.

解説

回答:2

結核菌の証明・・・塗抹染色、分離培養、抗酸菌同定法、PCRなどがある。PCRは必ずしも必須ではない。

 

呼吸器 問15.集団検診における喀痰細胞診判定に関して,誤っているものはどれですか.

1.集団検診における判定区分C に相当する異型扁平上皮の細胞判定は陰性である.

2.肺癌検診の喀痰細胞診は中枢型の扁平上皮癌がターゲットとなる.

3.肺癌検診では3 日間,蓄痰法で行う.

4.喀痰標本に塵埃細胞がみられない場合は,材料不適と判断する.

5.喀痰細胞判定は全標本中の最も優勢な部分によって判定する.

解説

回答:5

・喀痰細胞診の判定・・・個々の細胞の判定ではなく、喀痰1検体の全標本に関する総合判定を行う。全標本上、最も高度な部分で判定はするが、異型細胞少数では再検査を考慮する。

呼吸器 問16.扁平上皮化生細胞について誤っているものはどれですか.

1.高度喫煙者に多く見られる.

2.非可逆的反応により出現する.

3.口腔内の扁平上皮細胞より小さく,基底細胞よりも大きい.

4.早期の扁平上皮癌と異型扁平上皮との鑑別が困難なことがある.

5.扁平上皮化生を発生母地とする肺癌の頻度は低いと考えられている.

解説

回答:2

扁平上皮化生・・・可逆的な変化であるので原因がなくなれば元の上皮か再生する。

 

呼吸器 問17.誤っているものはどれですか.

1.軽度異型扁平上皮では2 核細胞は認められない.

2.中等度異型扁平上皮では多核細胞が時々みられる.

3.高度異型扁平上皮では多核細胞が高頻度で認められる.

4.軽度異型扁平上皮には病的意義はないと考えられている.

5.高度異型扁平上皮には癌が含まれる.

解説

回答:1

軽度異型扁平上皮・・・平面的な細胞集塊。敷石状、孤立散在性。類円形や多辺形。ライトグリーン、オレンジG、エオジンに淡染。クロマチンは均等に分布。N/C比が低い。同大の2核はまれにある。

 

呼吸器 問18.誤っているものはどれですか.

1.EGFR 遺伝子の突然変異がみられる肺癌の大半は腺癌である.

2.EGFR 遺伝子の突然変異がみられる腺癌はチロシンキナーゼ阻害薬が奏功することが多い.

3.ALK 遺伝子の異常は,日本人の肺腺癌の約20% に認められる.

4.ALK 遺伝子の異常がみられる腺癌はALK 阻害薬が奏功することが多い.

5.k-RAS 遺伝子の突然変異がみられる頻度は,粘液腺癌のほうが非粘液腺癌より高い.

解説

回答:3

ALK遺伝子・・・ALKと他の遺伝子と転座し、融合遺伝子を形成。非小細胞癌の2~5%で陽性。やや女性に多い。非喫煙者、圧倒的に腺癌に多い。

 

呼吸器 問19.縦隔腫瘍について誤っているものはどれですか.

1.神経原性腫瘍は後縦隔に好発する.

2.胚細胞腫瘍は前縦隔に好発する.

3.小児において頻度の高いものは,悪性リンパ腫と胚細胞腫瘍である.

4.B 3 型胸腺腫は低悪性度腫瘍に相当する.

5.A 型胸腺腫ではリンパ球は少ない.

解説

回答:3

・小児において最も一般的な縦隔腫瘍は、神経原性腫瘍および嚢胞である。小児で胸腺腫はまれ。また小児に多い胚細胞性腫瘍は奇形腫と卵黄嚢腫瘍。

呼吸器 問20.小細胞癌について誤っているものはどれですか.

1.細胞間結合が弱い.

2.背景に壊死を伴う.

3.核縁の肥厚がみられる.

4.ロゼット様配列を認める.

5.対細胞形成がみられる.

解説

回答:3

・小細胞癌の細胞像↓

・背景に壊死を伴うことが多い

・細胞結合が緩く、小集団として見られることが多い

・相互圧排像、鋳型様、木目込み様、ロゼット様

・大きさは、小型リンパ球の1.5倍~2倍

・N/C比は高く、細胞質は狭小または裸核状

・核濃染性でクロマチンは微細顆粒状、核内に充満、核線を認める

 

第47回 呼吸器 問11~問20の解説は以上です。