平成26年第47回

【解答(胸腹水編)】平成26年第47回細胞検査士試験過去問の解説(問11-20)

こんにちは!

あすはやです。

平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は胸腹水・その他 問11~問20の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

胸腹水(問11~問20)

胸腹水 問11.正しいものはどれですか

1.相対的エストロゲン過剰が乳腺症の原因の1 つである.

2.線維腺腫は間質成分の増殖のみが見られる.

3.乳頭腺管癌は細胞質内腺腔の形成が特徴的である.

4.悪性葉状腫瘍では癌の部分と肉腫の部分とが存在する.

5.男性乳癌は浸潤性小葉癌が多い.

解説

回答:1

乳腺症・・・成熟女性の乳腺疾患として多い。相対的なエストロゲン過剰を基盤とする。

線維腺腫・・・結合識性及び上皮性混合腫瘍。二相性を保持した乳管上皮細胞の細胞集塊と線維細胞に由来する裸核様細胞をみる。

乳頭腺管癌・・・浸潤癌巣が乳頭状ないし腺腔を形成。比較的小型の腺癌細胞が乳頭状クラスターや腺腔様の構造を示す。面皰タイプでは、壊死や石灰化を伴い異型が強い。

悪性葉状腫瘍・・・上皮成分は悪性を示さない。線維性間質に由来する細胞は大型で細胞異型が目立ち多形肉腫の像を示す。

男性乳癌・・・通常は60~70歳で発見される。大半は浸潤性乳管癌。非浸潤性のものや炎症性乳癌等も起こる。

 

 

胸腹水 問12.正しいものはどれですか.

 

1.プロラクチン産生腫瘍は下垂体後葉に発生する.

2.下垂体のFSH 産生腫瘍はクッシング症の原因である.

3.頭蓋咽頭腫は下垂体前葉の好酸性細胞由来である.

4.慢性甲状腺炎では背景に類上皮細胞が見られる.

5.甲状腺髄様癌は間質にアミロイド沈着が見られる.

解説

回答:5

下垂体腺腫・・・一般的には前葉から発生する。40歳前後に多い。ホルモンを産生するもの、ホルモンを分泌しないものに分けられる。

・先端巨大症・巨人症:成長ホルモン産生腫瘍

・プロラクチノーマ:プロラクチン産生腫瘍

・クッシング病:副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍

頭蓋咽頭腫・・・胎生期の頭蓋咽頭管(ケトラ嚢)の遺残から発生すると考えられる。小児の頭蓋内腫瘍として比較的多い。扁平上皮、泡沫状細胞、コレステリン結晶などを認める。トルコ鞍上/内に発生。

慢性甲状腺炎(橋本病)・・・甲状腺濾胞上皮細胞は好酸性変化。間質はリンパ球浸潤と線維増生が著名。リンパ濾胞形成を認める。

 

 

胸腹水 問13.正しいものはどれですか.

 

1.成人T 細胞性白血病はHTLV- Ⅲの感染が原因である.

2.多発性骨髄腫は,骨髄造血細胞の腫瘍である.

3.形質細胞はB 細胞が分化した細胞である.

4.主にT 細胞は骨髄,B 細胞は胸腺で作られる.

5.セザリー細胞はB 細胞由来である.

解説

回答:3

セザリー症候群・・・皮膚の悪性リンパ腫の一種。全身が赤くなり、痒みが出現。発熱とリンパ節腫瘍も伴う疾患。菌状息肉腫と同じく皮膚T細胞性リンパ腫。末梢血中にセザリー細胞と呼ばれる異型リンパ球が見られる。

 

胸腹水 問14.正しい組み合わせはどれですか.

 

1.副甲状腺腫瘍 ―――― 血中カルシウム低下

2.甲状腺髄様癌 ―――― 血中カルシトニン低下

3.副腎皮質腫瘍 ―――― 血中のACTH 低下

4.褐色細胞腫 ――――― 血中の17 – OHCS 上昇

5.神経芽細胞腫 ―――― 血中のバニリルマンデル酸(VMA)上昇

解説

回答:3

副甲状腺腺腫・・・機能亢進するならば、パラトルモンが分泌されることになる。つまり破骨の亢進が起こり、血中のCaは上昇する。

甲状腺髄様癌・・・C細胞由来でカルシトニンやセロトニン、ACTH、CEAなど産生。

副腎皮質腫瘍・・・ほとんどは機能性。皮質からはコルチゾール、アルドステロン、性ホルモンが分泌される。ACTHは副腎皮質刺激ホルモンであり、フィードバックで低下する。

褐色細胞腫・・・副腎髄質や傍神経節から発生するカテコラミン産生腫瘍。高カテコラミン産生血症、尿中カテコラミン、VMA高値。

神経芽細胞腫・・・小児がんの一つ。副腎髄質や交換神経幹から発生。尿中VMA、ホモバニリン酸高値。

17-OHCS・・・尿中の値に意味がある。

高値:クッシング症候群、甲状腺機能亢進

低値:アジソン病、甲状腺機能低下、肝硬変

 

胸腹水 問15.髄膜腫の組織亜型について誤っているものはどれですか.

 

1.髄膜皮性髄膜腫

2.線維性髄膜腫

3.粘液産生性髄膜腫

4.分泌性髄膜腫

5.退形成性髄膜腫

解説

回答:3

髄膜腫・・・成人女性に多い。中年~

良性:髄膜皮性、線維性、移行性、砂粒腫性、血管腫性、微小嚢胞性、分泌性、リンパ球・形質細胞に富む。化生性。

中間悪性:異型性、明細胞、脊索腫様

悪性:ラブドイド、乳頭状、退形成性

 

胸腹水 問16.上皮型中皮腫と腺癌の鑑別に有用なマーカーとして誤っているものはどれですか.

1.Calretinin

2.D 2 – 40

3.CEA

4.Ber – EP 4

5.Cytokeratin AE 1 / AE 3

解説

回答:5

Cytokeratin AE 1 / AE 3・・・ほとんどの上皮性腫瘍で陽性のため、鑑別には使えない。

 

胸腹水 問17.誤っているものはどれですか.

 

1.膀胱原発の扁平上皮癌は角化型が多い.

2.尿膜管由来の悪性腫瘍は尿路上皮癌が多い.

3.BCG 治療中の尿では類上皮細胞が増加する.

4.回腸導管尿では変性した円柱上皮細胞が出現する.

5.カテーテル尿細胞診は腫瘍発生部位の検索に有用である.

解説

回答:2

尿膜管由来の悪性腫瘍・・・尿膜管癌、膀胱腺癌がある。大部分が腺癌。

 

胸腹水 問18.甲状腺と副甲状腺の細胞診について誤っているものはどれですか.

 

1.甲状腺濾胞性腫瘍と副甲状腺腺腫との鑑別はときに困難である.

2.甲状腺濾胞性腫瘍ではクロモグラニンA は陽性である.

3.副甲状腺機能亢進では副甲状腺細胞内の脂質が減少する.

4.副甲状腺腺腫と副甲状腺過形成との鑑別は困難である.

5.甲状腺細胞診の報告様式にはベセスダシステムがある.

解説

回答:2

クロモグラニンA・・・多くの内分泌腫瘍で陽性。下垂体腺腫、ラ氏島細胞腫、クロム親和性細胞腫、甲状腺髄様癌、小細胞癌、カルチノイド。

 

胸腹水 問19.誤っているものはどれですか.

 

1.髄芽腫は小児の小脳に好発する.

2.髄芽腫の細胞は細胞質が豊富である.

3.神経鞘腫は小脳橋角部腫瘍の代表的疾患である.

4.下垂体腺腫は小型類円形核が特徴的である.

5.下垂体腺腫は下垂体前葉の腺細胞由来である.

解説

回答:2

髄芽種・・・6~10歳の小児、小脳虫部、小脳半球が好発部位。濃染する円形ないし楕円形の核を持つ小型の細胞がびまん性、高密度で増殖。短紡錘形の細胞かHommerWright型偽ロゼットを形成。

 

胸腹水 問20.誤っている組み合わせはどれですか.

20.誤っている組み合わせはどれですか.

1.乳汁漏出症 ―――― プロラクチン高値

2.尿崩症 ―――――― 抗利尿ホルモン高値

3.悪性貧血 ――――― ガストリン高値

4.クレチン症 ―――― トリヨードサイロニン低値

5.アジソン病 ―――― コルチゾール低値

解説

回答:2

尿崩症・・・抗利尿ホルモンの分泌や作用が障害される。血中抗利尿ホルモン低値。尿の浸透圧上昇しない。

 

第47回 胸腹水・その他 問11~問20の解説は以上です。