平成26年第47回

【解答(総論編)】平成26年第47回細胞検査士試験過去問の解説(問1-問10)

こんにちは!

あすはやです。

平成26年度 第47回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は総論 問1~問10の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

総論(問1~問10)

総論 問1.正しいものはどれですか.

A.サルコイドーシス ――――― 星状小体
B.顆粒膜細胞腫 ――――――― アピッツ小体
C.膀胱マラコプラキア ―――― ラインケ結晶
D.形質細胞腫 ―――――――― マロリー小体
E.クラミジア ―――――――― 星雲状封入体

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

顆粒膜細胞腫 ・・・性索間質性腫瘍であり、コールエクスナー小体が見られる。核はコーヒー豆様である。

アピッツ小体・・・悪性黒色腫で見られる核内封入体。その他にメラニン顆粒、大小不同、核の切れ込みなどが見られる。

膀胱マラコプラキア・・・膀胱の肉芽腫性炎。ミカエリスグットマン小体と呼ばれる多核のマクロファージ細胞質内封入体が特徴。

ラインケ結晶・・・ライディッヒ細胞の細胞質内に見られる。六角柱状。

形質細胞腫 ・・・黄色の小球体であるラッセル小体がみられる。免疫グロブリンの蓄積。

マロリー小体・・・肝細胞癌の高分化型でみられることが多い。PAS陰性である。

 

総論 問2.細胞周期において正しいものはどれですか.

A.S 期終了後からM 期開始までの期間をG 1 期と呼ぶ.
B.p 27 は細胞周期を正に制御する.
C.核分裂はS 期に行われる.
D.細胞周期の制御にはcyclin やcdk(cyclin-dependent kinase)が関与する.
E.G 1 cyclin 複合体は主にRb タンパク質を標的にする.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

細胞周期

G0期:静止または老化状態

↓↑

G1期:合成準備期

【先に進むためにCdk2/CyclinEが関与している】

【抑制作用としてp27p53、Rbが関与している】

S期:DNA複製

【先に進むためにCdk2/CyclinAが関与している】

G2期:分裂準備。

【先に進むためにCdk1/CyclinBが関与している】

【制御作用としてBRCA1が関与している】

M期:有糸分裂

 

 

総論 問3.不適切問題のため削除しました.

3.不適切問題のため削除しました.
リンパ球表面マーカーについて問う問題でしたが,試験終了後、正解の中に表面マーカー以外のものが
含まれていることが判明したため不適切問題として全員正解にしました.

総論 問4.核内細胞質封入体がみられる腫瘍はどれですか.

A.髄膜腫
B.皮膚基底細胞癌
C.横紋筋肉腫
D.甲状腺濾胞癌
E.肝細胞癌

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

核内細胞質封入体・・・細胞質の一部が核内に陥入したもの。甲状腺乳頭癌に特徴的。

こちらのサイトを参考にして下さい。↓画像

http://pathology.or.jp/corepictures2010/13/c08/04.html

その他にも、肺乳頭状癌、肝細胞癌、悪性黒色腫、髄膜腫に見られる。

 

総論 問5.正しいものはどれですか.

A.腫瘍の大きさと悪性度には正の相関がみられる.
B.高分化な悪性腫瘍は,細胞・組織の異型が強い.
C.低分化な悪性腫瘍は,通常悪性度が低い.
D.高分化な悪性腫瘍は,発生母地との組織学的類似性が高い.
E.未分化な悪性腫瘍は,通常放射線感受性が高い.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

 

構造異型

高分化:発生母組織に近い構造を持つ

低分化:発生母地との類似性に乏しい。悪性度高い。

未分化:いずれの構造組織か示唆できない。

 

放射線感受性

高い:神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、Wilms、Ewing、精上皮種、未分化胚細胞腫、リンパ上皮種

中等度:扁平上皮癌、髄芽腫

低い:奇形腫、神経膠腫、線維肉腫、骨肉腫、悪性黒色腫、腺癌、腎細胞癌

 

総論 問6.正しいものはどれですか.

A.肺腺癌ではALK 遺伝子異常を持つものが多い.
B.多発性骨髄腫では免疫グロブリン遺伝子再構成が見られる.
C.慢性骨髄性白血病では融合(キメラ)遺伝子BCR-ABL が見られる.
D.家族性大腸腺腫症では生まれながらにしてk -RAS 遺伝子変異を持つ.
E.肺癌は多段階発癌説に従い,大腸癌は多段階発癌の関与はない.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

肺腺癌とALK遺伝子・・・ALK遺伝子からできる蛋白質の作用で癌細胞の増殖スイッチがONとなり、細胞が増殖する。ALK遺伝子は肺癌の3~5%にみられ、腺癌に特異的に見られる。

多発性骨髄腫・・・複数の遺伝子異常の蓄積により発症進展する形質細胞性腫瘍。免疫グロブリン領域の転座による癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活化により発症進展する。

※免疫グロブリン再構成は、ふつうB細胞上で起こっている。

慢性骨髄性白血病・・・t(9;22)によりBCR-ABLキメラ遺伝子を生じる。これはチロシンキナーゼでアポトーシス抑制遺伝子を活性化、不死化を引き起こす。フィラデルフィア染色体を検出。

家族性大腸腺腫症・・・常染色体優性遺伝。生殖レベルでのAPC遺伝子変異が同定され、そこにK-ras,p53,SMAD4などの遺伝子異常が蓄積される。よって、生まれながらにしてもつ遺伝子異常はAPC遺伝子異常のみと考えられる。

多段階発癌説・・・ある日突然ではなく、いくつか段階を経て進行していくというもの。

イニシエーション→プロモーション→プログレッション

 

総論 問7.ラングハンス(Langhans)型巨細胞の出現を特徴とするものはどれですか.

A.伝染性単核球症
B.ネコひっかき病
C.サルコイドーシス
D.壊死性リンパ節炎
E.皮膚病性リンパ節症

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

ラングハンス型巨細胞が出現する疾患・・・サルコイドーシス型肉芽腫では類上皮細胞およびラングハンス型ときに異物型巨細胞の集合と周囲を囲むリンパ球から構成される類上皮細胞結節を作る。

結核症、サルコイドーシス、梅毒、ハンセン氏病、ベリリウム症、猫ひっかき病

 

総論 問8.一般的にホルモン療法が有効とされる癌はどれですか.

A.卵巣癌
B.胆嚢癌
C.甲状腺髄様癌
D.乳癌
E.子宮内膜癌

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

ホルモン療法・・・ホルモンの分泌促進または抑制。

乳癌:エストロゲンで悪くなるため、抗エストロゲン剤タモキシフェン

子宮体癌:同じく。黄体ホルモンで対抗。

前立腺癌:男性ホルモンで悪くなるため、抗男性ホルモン剤、女性ホルモン。

総論 問9.筋上皮細胞を持たないものはどれですか.

A.汗腺
B.乳腺
C.甲状腺
D.前立腺
E.唾液腺

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

筋上皮細胞・・・外分泌腺の腺房や導管の内腔を覆う腺上皮と基底膜の間に認められる細胞。

 

筋上皮細胞があるところ

汗腺、乳腺、涙腺、唾液腺、気管支腺、食道腺

 

 

総論 問10.細胞内小器官について誤っているものはどれですか.

A.粗面小胞体ではタンパク合成を行う.
B.ライソゾーム(リソゾーム)は加水分解酵素を含んでいる.
C.滑面小胞体はアポトーシスに深く関与している.
D.核小体にはDNA が多く含まれる.
E.ミトコンドリアは細胞内エネルギー産生に関与している.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

滑面小胞体・・・ステロイドホルモンの合成。生体に有毒な物質の解毒。

核小体・・・RNAからなる。成長期の細胞や機能の活発な細胞によく発達。

 

 

 

47回総論 問1~問10の解説は以上になります。

47回総論 問11~問20の解説はこちらになります。↓

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