こんにちは!
あすはやです。
平成27年度 第48回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は婦人科 問11~問20の解説を行います。
学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!
Contents
- 婦人科(問11~問20)
- 婦人科 問11.次のうち正しいものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問12.次のうち正しい組み合わせはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問13.次のうち正しい組み合わせはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問14.ホルモン細胞診について 誤っている ものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問15.子宮内膜症について 誤っている ものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問16.次のうち 誤っている ものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問17.次の病変と細胞像・組織像の組み合わせのうち 誤っている ものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問18.次のうち I 型子宮内膜癌の危険因子として 誤っている ものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問19.卵巣上皮性悪性腫瘍について 誤っている ものはどれですか.
- 解説
- 婦人科 問20.婦人科悪性腫瘍について 誤っている ものはどれですか.
- 解説
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- 関連
婦人科(問11~問20)
婦人科 問11.次のうち正しいものはどれですか.
1.妊娠中の腟細胞診ではデーデルライン桿菌が減少する.
2.舟状細胞は高エストロゲン効果を反映している.
3.非授乳産褥婦では早期に中層細胞が減少する.
4.妊娠中は中層型優位の細胞像を呈する.
5.細胞成熟度指数(M.I.)が左方移動すると流産が予知される.
解説
回答:4
・デーデルライン桿菌・・・膣内に存在するグラム陰性桿菌。扁平上皮に含まれるグリコーゲンのもとに生息し、乳酸を酸性し、膣内のpHを酸性に保ち雑菌の繁殖などを防いでいる。分泌期、妊娠、ステロイドホルモン使用時、使用後に出現する。
・舟状細胞・・・妊娠3か月~妊娠末期まで見られる細胞。妊娠をすると、プロゲステロン効果が著名となり、細胞質の辺縁が肥厚し、グリコーゲンを豊富に有する舟状細胞が出現する。
・産褥期・・・妊娠前の状態に戻るまでの期間をいい、約6~8週間かかる。産褥期には妊娠中に分泌されていた、エストロゲンとプロゲステロンは消失し、成熟指数M.I.は左方移動を示す。授乳産褥婦のほうが産褥期は短いと言われているが、中層細胞が減少する速さは授乳産褥婦も非授乳産褥婦も変わらないと思われる。
・流産と成熟指数M.I・・・正常妊娠している状態で成熟指数M.I.が右方移動すると、核濃縮を有するエオジン好性細胞が出現し、予後が悪いと予測される。この時にプロゲステロン負荷を行い、細胞が中層型に回復するときは予後良好であるが、プロゲステロン負荷後も表層型あるいは分散型が続くときは予後不良であろうと判断される。
婦人科 問12.次のうち正しい組み合わせはどれですか.
1.外陰ヘルペス ―――― 細胞質内封入体
2.クラミジア感染症 ―― 核内封入体
3.カンジダ腟炎 ―――― clue cell
4.尖圭コンジローマ ―― two-tone color
5.トリコモナス腟炎 ―― cannon ball
解説
回答:5
・ヘルペス・・・核内封入体、核の圧排像、核の構造がすりガラス様で核内無構造。
・クラミジア感染症 ・・・細胞質内封入体を形成し、核を圧排する像が特徴。
・カンジダ腟炎 ・・・膣自浄作用の低下、抗生物質投与時などに発症しやすい。Pap染色では赤褐色の細長い菌糸が見られ、くし刺しした様な、幾つかの細胞を貫通しているような像も見られる。核周囲明庭、核の増大なども見られる。
・尖圭コンジローマ・・・HPV感染による所見とされている。被覆上皮の表層から中層にかけて細胞質が明るく抜けたコイロサイトーシスを伴う。
婦人科 問13.次のうち正しい組み合わせはどれですか.
1.顆粒膜細胞腫 ―――――――――― 血中 CEA 高値
2.セルトリ・ライディッヒ細胞腫 ―― 男性化徴候
3.ディスジャーミノーマ ―――――― AFP 産生
4.未熟奇形腫 ――――――――――― βhCG 産生
5.Kruckenberg 腫瘍 ―――――――― 浸潤性乳管癌
解説
回答:2
・顆粒膜細胞腫・・・性索間質性腫瘍の1つで境界悪性。約半数にエストロゲン産生による不正性器出血や月経異常が見られる。少なくとも10%が顆粒膜成分で構成される腫瘍をいう。成人型と若年型があり、成人型ではコール・エクスナー小体が見られるが、若年型では見られることは少ない。
・ディスジャーミノーマ ・・・胚細胞腫瘍の1つである。精巣に発生するものをセミノーマという。グリコーゲンに富む大型淡明な腫瘍細胞と背景の多数のリンパ球の2相性が特徴である。
・未熟奇形腫・・・胚細胞腫瘍の1つである。未熟な神経管の量が予後推定の指標となる。壊死背景に幼若な扁平上皮や腺細胞などとともに未熟な神経管が見られる。
・Kruckenberg 腫瘍 ・・・胃癌が卵巣へ転移した転移性卵巣腫瘍。印環細胞が増生し著しい間質結合組織が見られる。
婦人科 問14.ホルモン細胞診について 誤っている ものはどれですか.
1.新生児期は傍基底細胞優位である.
2.増殖期にはケラトヒアリン顆粒を持つ表層細胞が出現する.
3.分泌期には中層細胞が多くなる.
4.妊娠中期には舟状細胞が出現する.
5.授乳中は閉経期と類似した細胞がみられる.
解説
回答:1
・新生児期・・・胎内において胎盤を介して母体からホルモンの影響を受けるため、成熟指数M.Iは0/95/5と中層型が優性となる。
・幼児期・・・成熟指数M.Iは90/10/0と傍基底型が優性となる。
婦人科 問15.子宮内膜症について 誤っている ものはどれですか.
1.子宮内膜組織に類似する組織が子宮内膜以外の部位にみられる.
2.類内膜腺癌や明細胞腺癌の発生母地となる.
3.腹膜子宮内膜症ではブルーベリースポットと呼ばれる変化がみられる.
4.卵巣チョコレート嚢腫との関連性は低い.
5.月経困難症の原因となる.
解説
回答:4
・チョコレート嚢胞と子宮内膜症・・・子宮内膜症とは本来、子宮内腔にしかないはずの子宮内膜や子宮内膜様の組織が、子宮以外の卵巣、ダグラス窩、S状結腸、直腸、膣、外陰部などにできる疾患である。月経期になると、子宮以外の場所に出来た子宮内膜からも出血し剥離が起き、血液や内膜が貯留する。そのため、卵巣チョコレート嚢胞ができたり、臓器との癒着が起きたりする。
婦人科 問16.次のうち 誤っている ものはどれですか.
1.クラミジア感染では自覚症状を認めないことが多い.
2.トリコモナスは性行為によって感染する.
3.淋病は不妊や子宮外妊娠の原因となる.
4.性器ヘルペスでは水疱や潰瘍が多くみられる.
5.カンジダ腟炎では黄色帯下が特徴的である.
解説
回答:5
・カンジダ腟炎・・・強い痒み、白いドロッとした帯下、酒かす様、カッテージチーズ用の帯下がみられる。
婦人科 問17.次の病変と細胞像・組織像の組み合わせのうち 誤っている ものはどれですか.
1.分葉状頸管腺過形成(LEGH) ―― 黄色調粘液
2.角化型扁平上皮癌 ――――――― 角化真珠
3.漿液性腺癌 ―――――――――― 砂粒体
4.すりガラス細胞癌 ――――――― 好中球
5.小細胞癌 ――――――――――― 木目込み状配列
解説
回答:4
・すりガラス細胞癌 ・・・低分化癌である。細胞診では大型の非角化型扁平上皮癌と診断され、組織学的検索により診断されることが多い。細胞診での正診率は低い。組織像は、ヘマトキシリンで弱好塩基性を呈する中等量のすりガラス様細胞質、エオジンやPAS反応によって染色される胞体境界、明瞭な核小体を有する大型核、好酸球の著明な間質内浸潤や多形性を示す。
詳細はこちらのサイトを参考にしてみてください。↓
http://www.ns.jscc-tokai.jp/case/%E8%86%A3%E5%A3%81%E3%80%81%E5%AD%90%E5%AE%AE%E5%86%85%E8%86%9C/
婦人科 問18.次のうち I 型子宮内膜癌の危険因子として 誤っている ものはどれですか.
1.高血圧
2.未産
3.糖尿病
4.喫煙
5.肥満
解説
回答:4
Ⅰ型子宮内膜癌の危険因子
・肥満
・糖尿病
・高血圧
・高齢
・未産
・晩期閉経
・乳癌の既往
婦人科 問19.卵巣上皮性悪性腫瘍について 誤っている ものはどれですか.
1.最も多い組織型は漿液性腺癌である.
2.粘液性腺癌は免疫染色にて通常 CK7,CK20 とも陽性を示す.
3.類内膜腺癌のほとんどが子宮体部からの転移である.
4.我が国における明細胞腺癌の頻度は欧米に比べて高い.
5.良性ブレンナー腫瘍成分とともに移行上皮癌がみられれば,悪性ブレンナー腫瘍と診断される.
解説
回答:3
・類内膜腺癌・・・50~60歳代に好発。子宮内膜類内膜腺癌を同時に合併することがある。子宮内膜の上皮性病変に類似しており、組織学的評価に関しても基本的に内膜における評価法を応用できる。
婦人科 問20.婦人科悪性腫瘍について 誤っている ものはどれですか.
1.外陰癌の組織型で最多のものは悪性黒色腫である.
2.腟癌の組織型で最多のものは扁平上皮癌である.
3.卵管癌の特徴的な症状は水様性帯下である.
4.腹膜癌の代表的な組織型は漿液性腺癌である.
5.外陰部パジェット病は腺癌に分類される.
解説
回答:1
・外陰癌の組織型・・・外陰原発の悪性腫瘍は全女性性器の約4%とされ、扁平上皮癌がその90%程度を占める。大部分は陰唇に発生し、好発年齢は60~70歳代。
婦人科 問11~問20の解説は以上になります。
第49回細胞検査士試験過去問解説は準備中です。
しばらくお待ちください。