こんにちは!
あすはやです。
平成28年度 第49回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は総論 問11~問20の解説を行います。
学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!
Contents
- 総論(問11~問20)
- 総論 問11.扁平上皮化生を生じやすい組織で,正しいものはどれですか.
- 解説
- 総論 問12.癌と腫瘍マーカーで,誤っている組み合わせはどれですか.
- 解説
- 総論 問13.内胚葉、中胚葉、外胚葉発生について,誤っている組み合わせはどれですか.
- 解説
- 総論 問14.組織形態の表現で,誤っているものはどれですか.
- 解説
- 総論 問15.誤っているものはどれですか.
- 解説
- 総論 問16.小児に好発する腫瘍を1つ選びなさい.
- 解説
- 総論 問17.アポトーシスで,誤っているものを1つ選びなさい.
- 解説
- 総論 問18.臓器を構成する筋肉で,誤っている組み合わせを1つ選びなさい.
- 解説
- 総論 問19.ヒトの腫瘍と原因ウイルスで,誤っている組み合わせを1つ選びなさい.
- 解説
- 総論 問20.二相性を示す腫瘍として,誤っているものを1つ選びなさい.
- 解説
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- 関連
総論(問11~問20)
総論 問11.扁平上皮化生を生じやすい組織で,正しいものはどれですか.
A.卵管
B.尿細管
C.膀胱
D.気管支
E.十二指腸
1:A B
2:A E
3:B C
4:C D
5:D E
解説
回答:4
・化生・・・後天的におこる細胞の分化形質の異常。分化成熟したある細胞が他の分化成熟した細胞の形態に変化することであり、可逆的な変化である。代表的な例として、喫煙者によく見られる、気管支の線毛円柱上皮が重層扁平上皮に変化する現象が挙げられる。
子宮頸部や呼吸器ではよく扁平上皮化生をおこしている細胞を見るので、まずDが答えとしてあがる。消化器粘膜上皮は扁平上皮化生するのは稀であるため×と考える。泌尿器では扁平上皮癌を生じることもあり、扁平上皮への分化を伴う浸潤性尿路上皮癌などみられるため答えは膀胱と考えました。
総論 問12.癌と腫瘍マーカーで,誤っている組み合わせはどれですか.
A.絨毛癌 ――――――――――― β-hCG
B.肝細胞癌 ―――――――――― α-フェトプロテイン
C.前立腺癌 ―――――――――― PSA
D.卵巣癌 ――――――――――― CEA
E.大腸癌 ――――――――――― CA-125
1:A B
2:A E
3:B C
4:C D
5:D E
解説
回答:5
・CEA・・・CEAは胎児の消化器の粘膜組織だけにあるタンパクの一種。癌細胞が増殖している組織内からもつくり出される。消化器系がんのスクリーニング検査として広く用いられる。特に大腸癌と胃癌。卵巣癌でも陽性になるこ場合もあるが卵巣癌に特異的ではない。
・CA-125・・・卵巣癌、子宮癌に特異な反応を示す腫瘍マーカー。CA125は、胎児の身体を覆う上皮である卵巣上皮から発生する糖タンパクであるムチン性抗原に反応する試薬が使われるため、婦人科系疾患、とくに卵巣癌の検査としてCA602と共に用いられる。
総論 問13.内胚葉、中胚葉、外胚葉発生について,誤っている組み合わせはどれですか.
A.中枢神経 ―――――――――― 外胚葉
B.肺 ――――――――――――― 内胚葉
C.胸膜 ―――――――――――― 内胚葉
D.副腎皮質 ―――――――――― 外胚葉
E.脾臓 ―――――――――――― 中胚葉
1:A B
2:A E
3:B C
4:C D
5:D E
解説
回答:4
内胚葉:消化器上皮、呼吸器上皮、肝臓、膵臓、甲状腺
外胚葉:表皮、口腔、肛門、外耳道、神経系、脳、副腎髄質
中胚葉:循環器系、泌尿器、生殖器、骨、筋肉、血液、副腎皮質、胸膜
総論 問14.組織形態の表現で,誤っているものはどれですか.
A.間質量の少ない癌を髄様という.
B.細胞が放射状に配列する状態をロゼット配列という.
C.腫瘍細胞巣内に腺腔が複数みられる状態をコメドという.
D.腺癌胞巣内部に粘液を貯めている状態を癌真珠という.
E.複数の細胞の細長い核が平行に配列する状態を柵状という.
1:A B
2:A E
3:B C
4:C D
5:D E
解説
回答:4
・コメド(面皰)・・・言葉の意味は面皰といって中身がつまった状態をいう。基本はニキビとかのこと。乳癌で特に耳にする、壊死が腫瘍細胞に囲まれたもの。
・癌真珠・・・扁平上皮癌で見られる所見であり、核を含んだ角質からなる同心円上の構造物。
総論 問15.誤っているものはどれですか.
A.T 細胞受容体は遺伝子再構成により多様な受容体を持つことができる.
B 細胞は免疫グロブリンにより抗原を認識する.
C.皮膚のランゲルハンス細胞は樹状細胞の一種である.
D.IV 型アレルギーでは免疫複合体により組織障害を来す.
E.自己免疫性膵炎では IgM クラスの免疫グロブリンが多数産生される.
1:A B
2:A E
3:B C
4:C D
5:D E
解説
回答:5
・IV 型アレルギー・・・抗原と特異的に反応する感作T細胞によって起こる。抗原と反応した感作T細胞から、マクロファージを活性化する因子などの様々な生理活性物質が遊離し、周囲の組織傷害を起こす。薬物アレルギー、金属アレルギーなどがある。
・自己免疫性膵炎・・・膵腫大、膵管のびまん性狭細、血清IgG4高値、ステロイドが有効などを特徴とする慢性膵炎。自己免疫機序の異常が原因とされているが、詳細なメカニズムは未だ不明。高齢者に多く、発症年齢では60代にピークがみられる。男女比は5対1で男性に多い疾患
総論 問16.小児に好発する腫瘍を1つ選びなさい.
1.膠芽腫
2.Grawitz 腫瘍
3.上衣腫
4.Hodgkin リンパ腫
5.Bowen 病
解説
回答:3
・小児の腫瘍・・・小児の腫瘍は、成人のがんと異なる性質を持ち、約3分の1が白血病・リンパ腫、残りの半分近くが脳腫瘍で、脳腫瘍以外の小児固形がんの多くは身体の深部から発生する肉腫または、胎児性組織が悪性化した芽腫と呼ばれるものとなる。
<小児腫瘍科の対象疾患>
・造血器腫瘍
急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性リンパ腫など
・固形腫瘍
骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、その他の骨軟部肉腫、胚細胞性腫瘍など
・脳腫瘍(脳脊髄腫瘍科との連携)
髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞性腫瘍など
総論 問17.アポトーシスで,誤っているものを1つ選びなさい.
1.局所の炎症に進展しない.
2.細胞質に水泡形成が生じる.
3.ライソゾームが崩壊する.
4.初期には細胞質が保たれる.
5.組織球性細胞に貪食される.
解説
回答:3
・アポトーシス・・・アポトーシスは、プログラムされた細胞死とも呼ばれ、細胞内に生じた何らかの異常を自分自身で感知することによる積極的・能動的な細胞死。この時、細胞死は細胞膜と核内構造変化を伴う細胞サイズの縮小から始まり、同時に細胞膜表面に存在する微絨毛の消失や、表面の平滑化などが起こる。細胞核はクロマチン構造がなくなり凝縮するが、特に核辺縁に半月状に凝縮が多くなる傾向がある。核全体の凝縮・縮小は激しく、その結果、細胞全体のサイズの縮小や細胞質内に空胞が出現する。膜の水疱形成と核クロマチンの凝集・断片化が進むと、細胞内容物は膜につつまれた小胞(アポトーシス小体)となる。細胞はアポトーシス小体に急速に断片化され、たちまち近くの貪食細胞に処理される。アポトーシスでは細胞膜が強い障害を受けないため、細胞内酵素の遊出が起きない。したがって壊死と異なり、周囲に炎症反応を起こさないのが大きな特徴。
総論 問18.臓器を構成する筋肉で,誤っている組み合わせを1つ選びなさい.
1.心筋 ―――――――――――― 横紋筋
2.食道 ―――――――――――― 横紋筋および平滑筋
3.胃 ――――――――――――― 平滑筋
4.小腸 ―――――――――――― 平滑筋
5.膀胱 ―――――――――――― 横紋筋
解説
回答:5
・膀胱・・・自分の意志では動かせない平滑筋で出来た袋状の臓器である。
総論 問19.ヒトの腫瘍と原因ウイルスで,誤っている組み合わせを1つ選びなさい.
1.バーキットリンパ腫 ――――― EB ウイルス
2.T 細胞白血病 ―――――――― HTLV-1
3.肝臓癌 ――――――――――― B 型肝炎ウイルス
4.子宮頸癌 ―――――――――― ヒトパピローマウイルス
5.髄膜腫―――――――――――― ヘルペスウイルス
解説
回答:5
・ヘルペスウィルス・・・ヘルペス(herpes)とは、ギリシャ語の「はう」という言葉に由来し、既に紀元前から疱疹などの皮膚症状に関する記述があります。代表的なヘルペスウィルスⅠは疲れた時などに口唇に水疱が出来る症状があり、ヘルペスウィルスⅡは性器に水疱を生じます。
髄膜腫とウィルスの関連はないようです。
総論 問20.二相性を示す腫瘍として,誤っているものを1つ選びなさい.
1.巨細胞腫
2.滑膜肉腫
3.絨毛癌
4.胎児性癌
5.ディスジャーミノーマ
解説
回答:4
・胎児性癌・・・中型から大型の不規則多形性に富む腫瘍細胞が、管状、乳頭状、散在性に出現。核は大きく多形性に富み、核小体は大きく明瞭。またジンチジウム型トロホブラストに類似した腫瘍細胞が出現することもある。
第49回 総論 問11~問20の解説は以上です。