平成28年第49回

【解答(体腔液編)】平成28年第49回細胞検査士試験過去問の解説(問1-10)

こんにちは!

あすはやです。

平成28年度 第49回細胞検査士資格認定試験学科筆記試験の解説をしていきたいと思います。今回は体腔液・尿・その他 問1~問10の解説を行います。

学生で細胞検査士を目指す人、働きながら細胞検査士を目指す人、一緒に頑張っていきましょう!

(問1~問10)

体腔液・その他 問1甲状腺腫瘍について正しいものはどれですか.

A.濾胞癌は細胞異型で診断することが可能である.

B.髄様癌の予後はきわめて悪い.

C.良性,悪性とも女性に多い.

D.悪性では乳頭癌が一番多い.

E.未分化癌は C 細胞由来である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

甲状腺の癌について・・・疫学:甲状腺腫のうち、甲状腺癌の割合は約1/5。40歳以上に多発し、男女比は1:4と女性に多い疾患。未分化癌と髄様癌では男女比は1:1と差異が見られない。

乳頭癌・・・頻度は全甲状腺癌の70%から80%と、甲状腺癌のなかでは最も多い。女性に多く、好発年齢は30-60歳代。若年発症が多いにも関わらず、早期治療を行えば予後は極めて良好で、10年生存率は80%以上とされており、小さい腫瘍であった場合は95%以上の術後30年生存率を報告している施設も。すりガラス状核、核の溝、核内細胞質封入体、核形不整、核重畳など、乳頭癌に特有とされる核所見がみられる。乳頭状配列は診断に必ずしも必要ではない。砂粒体や扁平上皮化生がみられることもある。

濾胞性腫瘍・・・頻度は10〜15%。乳頭癌と同様に女性に多いが、好発年齢はやや高く、40〜60歳代。血行性転移を示し、肺などへの遠隔転移が多い。このために予後は乳頭癌と比して不良であるが、進行は同様に緩徐であるので、10年生存率は50%を超えている。乳頭癌の核所見を有さない濾胞上皮が主として濾胞状に増殖する。良性腫瘍が濾胞腺腫でその悪性型が濾胞癌。濾胞癌の診断は腫瘍細胞の被膜浸潤、脈管浸潤、甲状腺外への転移のいずれか少なくとも1つを組織学的に確認すること。細胞診では両者を区別できない。ベセスダでの定義は、濾胞性腫瘍は「濾胞性腫瘍あるいは濾胞性腫瘍の疑い」のカテゴリー。

髄様癌・・・頻度は1〜2%。乳頭癌と同様に女性に多く、好発年齢は30-50歳代。80%は孤発性であるが、残りの20%は常染色体優性遺伝。予後は家族性発症例のほうが良好で、10年生存率は孤発例で40%、家族性発症例で80%とされている。傍濾胞細胞(C細胞)への分化(カルシトニン産生)を示す甲状腺悪性腫瘍である。背景にコロイドはみられず、アミロイド物質が約半数の症例に認められる。アミロイド物質はライトグリーン好性、無構造で辺縁はやや角ばっている。腫瘍細胞は結合性が弱く、乳頭状、シート状、濾胞状配列を認めない。粗大顆粒状のクロマチン(ごま塩)が特徴的。

未分化癌・・・頻度は2〜3%。乳頭癌と同様に女性に多いが、好発年齢はさらに高く、60歳代以上。もっとも予後不良とされており、診断後1年以内に80%が死亡する。甲状腺癌のなかで最も悪性度の高い腫瘍。多くは先在する分化癌や低分化癌が脱分化して発生すると考えられている。腫瘍細胞は極めて異型が強く、結合性は乏しく、細胞集塊を形成せずに孤立散在性に出現。核は大型でクロマチンに富み、核小体は大型で目立つ。背景には好中球、リンパ球などの炎症性細胞の出現が目立つ(サイトカイン放出による)。壊死性物質を伴うことも特徴。

体腔液・その他 問2.正しいものはどれですか

A.骨肉腫の細胞診では類骨はみられない.

B.骨巨細胞腫の腫瘍細胞は CD68 陰性である.

C.顆粒細胞腫はジアスターゼ抵抗性の PAS 反応陽性顆粒を有する.

D.滑膜肉腫では SYT-SSX 融合遺伝子が高率に検出される.

E.横紋筋肉腫の腫瘍細胞は Synaptophysin 陽性である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

骨肉腫・・・10代の大腿骨、脛骨、上腕骨に好発。老人の骨肉腫はまれ。血行性で肺転移を起こしやすい。本腫瘍は骨原発の腫瘍で類骨osteoid形成が診断の決め手となる。骨肉腫の診断には腫瘍細胞が骨や類骨を形成していることを確認しなければならない。しかし、細胞診標本ではこれらを確認できるとは限らない。また骨肉腫の細胞像は多彩で症例ごとに異なるため、骨肉腫特有の細胞像はない。

骨巨細胞腫・・・20歳以上に発生し、四肢に多い。15歳以下、頭蓋骨、手足に発生することはごく例外的。短紡錘形ないし紡錘形の基質細胞と、数個から100数個の核を有する多核巨細胞の混在が特徴。間質細胞と多核巨細胞の間には移行像がみられる。間質細胞および多核巨細胞の核の異型性は軽度であり、他の骨発生の肉腫にみられるほどの大型核や形の不整は認めない。腫瘍細胞の起源は不明とされているが、これら巨細胞は、単核細胞が融合したと示唆されている。免疫組織学的にも、単核細胞および多核巨細胞いずれも組織球由来であることが示唆されている。(CD13、CD68が陽性)。

顆粒細胞腫・・・末梢神経起源、特にシュワン細胞起源であるとされる。成人、特に40歳以降の年齢層にみられ、皮下、筋組織あるいは種々の臓器にも出現する。腫瘍細胞の細胞質は豊富で、大小不ぞろいな類円形ないし不整形を示す。核型は類円形、クロマチンは細顆粒状で均等分布を示し、小さな核小体を数個認める。本腫瘍の特徴所見は、腫瘍細胞の細胞質内に緑色の微細顆粒状物質を含有しているところ。この物質はジアスターゼ抵抗性のPAS陽性顆粒。

滑膜肉腫・・・関節近傍にみられる腫瘍で20~30代に多い。膝、足首など四肢の関節に好発。組織学的には二相性の形態をとるものが多い。すなわち、管腔形成した上皮様成分と紡錘形肉腫成分とからなる。二相性を示さない単相型の例もあるが、他の紡錘形肉腫との鑑別が必要になる。二相型を示す定型例ではヒアルロン酸が証明される。染色体転座t(X;18)(p11;q11)、SYT/SSX1またはSSX2の融合遺伝子異常がある。

シナプトフィジン・・・免疫染色では細胞膜に陽性。主要シナプス小胞蛋白p38とも呼ばれる。神経細胞のシナプス小胞膜に局在するカルシウム結合性膜糖蛋白。副腎髄質、下垂体、膵などの神経・神経内分泌細胞の細胞質にみられるほかに、腫瘍では神経芽細胞腫、ガングリオブラストーマ、褐色細胞腫、パラガングリオーマや下垂体腺腫、膵、甲状腺などのNECでも陽性となる。神経内分泌細胞に対しては分泌顆粒の乏しいものにも反応するが、特異性はクロモグラニンAよりも低いとされる。組織のホルマリン過固定で偽陰性化しやすい。

 

体腔液・その他 問3.脳腫瘍の WHO 分類で gradeⅣとされる脳腫瘍はどれですか.

A.膠芽腫

B.髄芽腫

C.乳頭状髄膜腫

D.脳室上衣腫

E.退形成性星細胞腫

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:1

こちらのサイトを参考にしてみて下さい。↓

https://plaza.umin.ac.jp/sawamura/braintumors/malignancy/

体腔液・その他 問4.急性前骨髄球性白血病(FAB 分類 M3)について誤っているものはどれですか.

A.アウエル小体が高頻度に認められる.

B.ミエロペルオキシダーゼの陽性率は 3%以下である.

C.フィラデルフィア染色体が高頻度に認められる.

D.播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併しやすい.

E.レチノイン酸による分化誘導療法で高い寛解導入率が得られる.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:3

急性前骨髄性白血病のM3・・・前骨髄球の腫瘍。前骨髄球は、血液を凝固させるトロンボプラスチンという物質に似たトロンボプラスチン類似様物質を大量に持つため、大量のがん化した前骨髄球が壊される際に大量のトロンボプラスチン類似様物質が血中に漏れ出し、激烈な播種性血管内凝固 (DIC) を伴うことが多いため、脳出血などによる早期の死亡リスクが高く注意を要する。血液検査では、白血球中に多く含まれるミエロペルオキシダーゼ (MPO) が細胞の分裂と破壊の亢進により高値になる。骨髄の白血球分画を見ると、骨髄細胞が増えすぎて過形成を起こしていたり、アズール顆粒と言うトロンボプラスチン類似様物質を前骨髄球の細胞質中に認めたりする。また、アズール顆粒が集まり融合するとアウエル小体と呼ばれる針状の構造を形成する。特に多量のアウエル小体を前骨髄球中に認める場合、ファゴット細胞 (faggot cell) と呼ばれる。t(15;17)染色体異常が特徴で、この異常により白血球が分化、成熟できなくなり、骨髄や末梢血中で前骨髄球が増加。以前は最も治りにくい白血病とされていたが、血液の凝固を抑えるビタミンAの1つであるオールトランス型レチノイン酸が用いられるようになり、治療成績が改善した。

 

体腔液・その他 問5.誤っているものはどれですか.

A.マントル細胞リンパ腫では,14 番染色体と 18 番染色体の転座がみられることが多い.

B.濾胞性リンパ腫では bcl-2 タンパクの過剰発現がみられる.

C.バーキットリンパ腫は,CD10 陽性である.

D.血管内大細胞型 B 細胞性リンパ腫では,血球貪食症候群を併発しやすい.

E.わが国で最も頻度の高い B 細胞性リンパ腫は濾胞性リンパ腫である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

マントル細胞リンパ腫・・・悪性リンパ腫の種類の1つで、リンパ球の中のB細胞から発生する非ホジキンリンパ腫。月単位で病気が進行する「中悪性度」に分類。わが国での発症頻度は比較的低く、悪性リンパ腫の3%程度。発症年齢の中央値は60歳代半ばで、男女比は男性に多い。リンパ節内のマントルという部分にあるリンパ球の中のB細胞ががんになったもので、リンパ節の中に増殖していく。CD5とcyclin D1を細胞表面に発現していることや、染色体部異常t(11;14)(q13;32)によってcyclin D1遺伝子が変化していることを特徴とする

濾胞性リンパ腫・・・B細胞から発生する非ホジキンリンパ腫。年単位でゆっくりとした経過をたどることが多い「低悪性度」に分類。悪性リンパ腫の約15~20%を占めており、近年増加傾向あり。高齢者に多く、年齢別の罹患率は60歳代で増加傾向があり。リンパ節の中に腫瘍性濾胞が少なくとも1つ見られることが特徴。多くの濾胞がみられる。濾胞の中のがん細胞はCD20、CD10が陽性であり、BCL2遺伝子の発現が高い割合でみられる。

バーキットリンパ腫・・・c-myc遺伝子と免疫グロブリン遺伝子の相互転座によって生じるB細胞性非ホジキンリンパ腫。週単位で病気が進行する「高悪性度」に分類。病状の進行は速いが適切な治療により治癒が期待できる。発症は、小児と30~40歳代の若年成人に多く、高齢者ではまれ。小児悪性腫瘍の全体の25~40%、男女比は2~3:1で男性に多く発症。星空像、細胞質空胞、PAS陽性、ズダンⅢ陽性。B細胞性抗原、CD10、BCL-6、Ki-67陽性。

血管内大細胞B細胞リンパ腫・・・節外性大細胞型リンパ腫細胞が血管内(特に毛細血管内)に選択的に認めるもの。成人に発生する稀な疾患。全身の臓器に浸潤しうるため、浸潤した臓器の機能不全を起こす(肺であれば呼吸困難、肝臓であれば肝機能障害、など)。特に中枢神経に病変が生じた場合の中枢神経症状(麻痺、失語症、認知症症状など多彩)が特徴的である。 Western form とAsian variantがあり、後者では中枢神経症状が少なく、初期より血球貪食症候群を起こし高熱と汎血球減少を主たる症状とする。

血球貪食症候群・・・マクロファージや好中球といった免疫細胞が暴走し、自らの血球(とくに血小板)を食べてしまう病気。きわめて重篤な致死的疾患で、突然健常者におこることもある。

本邦におけるリンパ腫の疫学・・・ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫があり、欧米ではホジキンリンパ腫が多数を占めるが、日本人のホジキンリンパ腫は約10%であり、日本では殆どが非ホジキンリンパ腫で占めている。びまん性大細胞性リンパ腫が最も多く、次いで濾胞性リンパ腫。

体腔液・尿・その他 問6.誤っているものはどれですか.

A.亜急性壊死性リンパ節炎では核片を貪食した類上皮細胞がみられる.

B.結核性リンパ節炎では壊死物質を認める.

C.Piringer リンパ節炎はトキソプラズマ感染が原因である.

D.伝染性単核球症では Hodgkin/Reed-Sternberg 細胞類似細胞を認めることがある.

E.ネコひっかき病では好酸球浸潤像が特徴である.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

亜急性壊死性リンパ節炎・・・若年性(40歳未満)、女性にやや多く発生する。菊池病とも呼ばれる。リンパ節腫大、発熱、薬疹様皮疹、白血球の減少、血性LDH、GOT、GPTの上昇がみられる。リンパ節の細胞像では、核小体の腫大した類大型リンパ球の他に赤血球や核崩壊産物を貪食した組織球がみられる。

結核性リンパ節炎・・・20~40歳女性の頸部に好発。細胞像は壊死物質を背景に成熟リンパ球、形質細胞に混じって、類上皮細胞、ラングハンス型巨細胞の出現がみられる。

Piringerリンパ節炎・・・細胞内寄生のトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)によって引き起こされるヒトでの人獣共通感染症。最も頻繁に、頭頸部領域で単発性のリンパ節病変。小リンパ球を背景に中型のcentrocyteと、大型で類円形の核を持つ centroblastがmitosis、tingible body macrophageを伴って出現。さらに類上皮細胞の小集簇巣が多数見られる。また単球様B細胞の大きな集簇巣も認められる。

伝染性単核球症・・・臨床的にはEBウイルスの感染による血清LDHの上昇、白血球数の増加、血液臓での異型リンパ球の増多がみられる。リンパ節では、小型リンパ球に混じって大型で好塩基性の細胞質を有する異型細胞の出現がみられる。

ネコひっかき病・・・ネコなどのペットによってひっかかれた後1~3か月して、発熱とともに所属リンパ節が腫脹してくる。好中球を貪食した組織球がみられるとともに、中型、大型のリンパ球が目立ってくる。

体腔液・その他 問7.誤っているものはどれですか.

A.硬癌はマンモグラフィーでスピキュラを示すことが多い.

B.浸潤性微小乳頭癌の癌胞巣では腺腔の分泌面が外向きである.

C.浸潤性小葉癌の核は E-cadherin 陽性である.

D.乳管腺腫では異型の強い扁平上皮化生がみられることがある.

E.基質産生癌は MRI でリング状に造影される.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:4

硬癌の画像診断・・・マンモグラフィの特徴はスピキュラ(毛羽立ち)を伴う腫瘤。しかし、実際は細かな毛羽立ちだけでスピキュラの所見がはっきりしないことがしばしばあり、微細分葉状を示すことの方が多いとされている。また、スピキュラを思わせる所見があっても腫瘤がはっきりしない時や病巣が背景の乳腺に埋もれている時があり、この場合は構築の乱れとしか表現できないので、癌の診断が不確実になり見逃される。

エコーでは、境界の不明瞭な不整形の低エコー腫瘤として描出される。上の方が断裂して、グレー調の不規則な領域(境界部高エコーが形成)として見える。後方エコーは減衰する。比較的エコーでは特徴がある。

 

浸潤性微小乳頭癌・・・組織学的には、微小乳頭状構造を呈する浸潤巣が間質に認められ、癌巣と間質とのあいだに裂隙がみられるのが特徴。また、微小乳頭状の癌巣内に腺腔がみられ、その腺腔内に分泌物や石灰化がみられることがある。リンパ管侵襲やリンパ節転移を伴う症例が多く、それらを構成する癌巣も、しばしば微小乳頭状構造を呈する。

※分泌面が外向き…。細胞の核が外側に極性を持って配列している様を表現していると考え、これは正しいと判断しました。

浸潤性小葉癌・・・頻度は低く全乳癌の5~15%程度。閉経後のホルモン補充療法に関連。50歳以降で好発。非浸潤性小葉癌が併存することも。ER陽性率が高く、稀にHER2陽性で、E-cadherin発現の消失がみられる。骨や卵巣などへの転移がみられる。

乳管腺腫・・・乳管内発生の良性上皮細胞増殖性病変。病変の中心部に瘢痕状の線維化を伴うことも。病巣が乳管外へ浸潤性に広がることや、細胞異型を伴ったアポクリン化生がみられることがある。乳管上皮が細胞集塊で出現している場合は乳管上皮に二相性が確認できる。乳管上皮細胞には通常細胞異型は目立たない。

乳癌のMRI診断・・・

乳頭腺管癌:雲状の広がり

充実腺管癌:圧排増殖性

硬癌:spicula

粘液癌:圧排増殖性、T2WI high

髄様癌:圧排増殖性、まれ

扁平上皮癌:圧排増殖性、まれ、壊死、リング状濃染

基質産生癌(MPC):圧排増殖性、まれ、T2WI high、リング状濃染

※癌巣の辺縁部に上皮性成分が、中心部に軟骨基質が見られるため、リング状に造影されるようです。

体腔液・その他 問8.誤っている組み合わせはどれですか.

A.甲状腺 ――― C 細胞 ――― サイロキシン

B.上皮小体 ―― 主細胞 ――― パラトルモン

C.膵臓 ―――― γ細胞 ――― ソマトスタチン

D.精巣 ―――― 間細胞 ――― アンドロゲン

E.下垂体 ――― 前葉 ―――― バゾプレシン

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:不適切問題のため解答なし

A、甲状腺―C細胞―カルシトニン

甲状腺―濾胞上皮―T3、T4(サイロキシン)

B、上皮小体―主細胞―パラトルモン

C、膵臓―α細胞―グルカゴン

膵臓―β細胞―インスリン

膵臓―δ細胞―ソマトスタチン

膵臓―ε細胞―グレリン

膵臓―PP細胞―膵ペプチド

D、精巣―間質細胞(ライディッヒ細胞)―アンドロゲン

E、下垂体―前葉―ACTH、GH、PRL、TSH、LH、FSH

下垂体―中葉―メラニン細胞刺激ホルモン

下垂体―後葉―オキシトシン、バソプレシン

体腔液・尿・その他 問9.中皮細胞について誤っているものはどれですか.

A.印環細胞様になることがある.

B.反応性中皮細胞はときに多核になる.

C.細胞表面に Alcian-blue で染色される微絨毛がみられる.

D.反応性中皮細胞は静止状態の中皮細胞に比べ剥離しにくい.

E.ギムザ染色で細胞質は好酸性を示す.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:5

中皮細胞・・・静止状態において中皮細胞は、単層扁平上皮様で物理的刺激に対して安定な形である。体腔液中に剥がれ落ちることはまれであり、細胞診の対象となることはない。漿膜下への癌浸潤、肝硬変、低蛋白血症、炎症や循環障害によって体腔液が貯留すると、中皮細胞は反応性中皮細胞となる。単層扁平上皮であった中皮細胞は刺激によって、立方状、円柱上皮様に、時には乳頭状の変化を起こす。そのため物理的刺激によって剥離しやすい状態となり、体腔液中に剥離する。

・反応性中皮の細胞判定のポイント・・・反応性中皮細胞にもさまざまなものがあり、静止状態に近い細胞所見のものから、悪性細胞との鑑別が非常に難しいものまである。反応性中皮細胞の中には、大型の核小体、核の大小不同、多核細胞、腺癌様の細胞配列を示すものがあり、一見悪性細胞の判定基準を満たしているようにみえることがある。しかし、このような場合でも、クロマチンが濃染することはなく、核も悪性所見を満たすような不整はない。体腔液中の中皮細胞は、活動性の高い時には大型化、多核化、N/C比の上昇、腫大核小体、核分裂像がみられることがあり、腺癌細胞との鑑別に苦慮することがある。腺癌細胞との鑑別には、細胞の出現頻度、細胞質、核形態で区別する。中皮細胞の出現頻度は通常、孤立散在性である。細胞質はライトグリーンに好染する。特に核周辺部では濃染し、辺縁部では淡染蛍光にある。核クロマチンは細顆粒状で均等分布し、核縁は薄く円滑である。また窓(細胞同士の間隙)を形成するのも特徴。

中皮細胞とPAS・AL-B・ギムザ・・・中皮細胞はPAS陰性~弱陽性。細胞質の辺縁部に顆粒状ないしびまん性に陽性を示すのが特徴。コントロールは好中球の顆粒。体腔液でのAL-BはpH2.5を用いるのが望ましい。コントロールは肥満細胞の細胞質内顆粒。中皮細胞は細胞質辺縁が陰性~陽性に染まる。ギムザ染色において中皮細胞の細胞質は紫色に染まっていて好塩基性。核周囲の方が辺縁部より濃く染まっていて厚みが感じられる。

体腔液・尿・その他 問10.甲状腺腫瘍について正しいものを1つ選びなさい.

1.濾胞腺腫は甲状腺機能亢進症を伴わない.

2.好酸性細胞型濾胞腺腫の細胞質には, 豊富なミトコンドリアが存在している.

3.乳頭癌のリンパ節転移は稀である.

4.低分化癌は Calcitonin 分泌を特徴とする.

5.硝子化索状腫瘍では, Cytokeratin 19 が陽性を示すことが多い.

1:A B

2:A E

3:B C

4:C D

5:D E

解説

回答:2

1、腺腫はまれに機能亢進症を伴う(プランマ―病)。濾胞腺腫を腺腫ととるならあり得る。

2、好酸性細胞型濾胞腺腫以外にも好酸性細胞は正常甲状腺にも出現し、橋本病や腺腫様甲状腺腫でもしばしば出現する。これらの細胞質にはミトコンドリアが豊富に存在している。

※以前このミトコンドリアは混濁腫脹(変性の変化の1つ)と言われたことある。

3、乳頭癌はリンパ行性なのでリンパ節転移はあり得る。

4、カルシトニンを分泌するのは髄様癌。

5、サイトケラチン19は、分子量40kDの低分子ケラチンで、ほとんどの単層上皮と非角化型扁平上皮に存在し、角化型扁平上皮細胞・肝細胞・数種の腺房細胞には存在しない。抗サイトケラチン19抗体は、正常細胞に対してはほとんどの腺上皮と重層扁平上皮の基底細胞と反応するが、乳腺と前立腺では陽性腺管と陰性腺管が混在し、非角化扁平上皮と毛嚢ではheterogenousな染色パターンとなる。皮膚の重層扁平上皮・皮脂腺・肝細胞・一部の精嚢細胞・内分泌細胞には反応しない。腫瘍細胞では、上皮性腫瘍の大部分と強陽性を示し、子宮頸部では腺癌同様扁平上皮癌も陽性となる。但し、乳腺では良性腫瘍でheterogenousな、悪性腫瘍でhomogenousな染色パターンを示す。一方、基底細胞癌とseminomaでは陰性となる。内分泌細胞に反応しないので陰性を示すと思われる。

第49回 体腔液・尿・その他 問1~問10の解説は以上です。